慣用句と故事成語を徹底解説!~苦手意識をなくそう~

慣用句・故事成語を覚えておくといい理由
国語の授業やテストでよく出てくる「慣用句」と「故事成語」。
正直苦手でイマイチ理解しにくいですよね。中には、こんな声も…。
慣用句って、言葉をそのまま受け取ると意味が全然ちがうよね…。
「頭が切れる」とか、本当に切れたらこわいし、なんで賢いって意味になるの?

故事成語って、中国の昔の話が元になってるんだっけ…?
「背水の陣」とか「漁夫の利」とか、いちいち「昔々、中国のある国で……」みたいなエピソードをセットで覚えないといけない。
コスパ悪すぎ。

たしかに、慣用句や故事成語って、ふだんの友達との会話ではまず使わないような言葉のオンパレードですよね。
とっつきづらいし覚える量も多いし…苦手に感じるのも納得です。
でも、これらの言葉を覚えることで、日常でいろいろ役立つこともあります。
自分の気持ちが、相手により伝わりやすくなる!
たとえば、あなたがずっと欲しがっていたゲームを誕生日プレゼントでもらったことを人に伝えたいとき、
「とても欲しかったゲームを、やっと買ってもらえたんだ~!」
というのと、
「喉から手が出るほど欲しかったゲームを、やっと買ってもらえたんだ~!」

というのとでは、どちらがより、あなたの切望していた気持ちが伝わりますか?
慣用句で表現したほうが、自分の気持ちを、より印象的に伝えることができると思いませんか。
これってふだんの会話だけでなく、作文を書く時にも、感情をうまく表現するのに使えそうですよね。
話し合いや発表の場面で、カッコよくふるまうことができる!
最近の国語の授業では、みんなの前で発表をしたり、グループで話し合ったりする機会が多いですよね。
そんなときに慣用句や故事成語を効果的に使うと、聴く人たちに一発で伝わり、なおかつ、なんだかカッコよく見せることができます。
例① [発表の場面で]
私たちは今回、地域の昔の商店街について調べました。
ただ過去を知るだけでなく、その工夫を今のまちづくりにどう生かせるかを考えました。
まさに、温故知新(昔のことを研究して新しい考えや知識を得ること)の学習だったといえます。
例② [グループでの話し合いで]
修学旅行の予算、A君のプランだとだいぶ足が出ちゃう(出費が予算をこえること)よね…。
タクシーじゃなくて電車移動できるルートを増やしてみよう。
どうですか? やる気出てきましたか?
慣用句や故事成語を日常使いしていると苦手意識も薄れてきます。将来的には入試の読解問題にも役に立ってきますよ!
では、慣用句・故事成語について一緒に学んでいきましょう。
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慣用句・故事成語の基本をおさえよう
慣用句とは
二つ以上の言葉が組み合わさって、もとの意味とは違う特別な意味を表す言い回しのこと。
たとえば…
・わたしはチョコレートに目がない(とても好きだ)。

・彼とぼくは大変馬が合う(気が合う)。
などが慣用句です。
故事成語とは
昔あった出来事や言い伝え(故事)がもとになって生まれた言葉です。主に中国の昔話に由来することが多いです。
これだけは知っておきたい、有名な故事成語をエピソード付きで紹介します。
■蛇足(だそく)
昔、中国の楚(そ)の国で、数人の男たちが蛇の絵を早く描く競争をした。
最初に描き終えた者は余裕があったため、つい蛇に足まで描き加えてしまった。しかし、蛇に足はないと言われて負けてしまった。
この話から、付け加える必要のない余計なものを「蛇足」と言うようになった。
(『戦国策』より)
■矛盾(むじゅん)
昔、中国の楚の国で、矛(ほこ)と盾(たて)を売る者がいた。
その者は「この矛はどんな盾でも突き通し、この盾はどんな矛でも防ぐ」と自慢した。
すると「その矛でその盾を突いたらどうなるのか」と聞かれ、答えられなくなった。
そこから、話が食い違い、つじつまが合わないことを「矛盾」と言うようになった。
(『韓非子』より)

ことわざと慣用句はどう違うの?
ことわざと慣用句の共通点
ことわざと慣用句はなんとなく似ていますね。共通点としては、
・どちらも 昔から使われてきた決まり文句。
・そのままの意味ではなく、特別な意味をもっている。
・会話や文章をわかりやすく、印象的にする。
こういったことが挙げられます。中には、ことわざと慣用句両方に属する言葉もあります。
ことわざと慣用句の違い
区別するならば、「教訓があるか、ないか」です。
ことわざは、昔の人の知恵や教えがつまった言葉で、それだけで独立した教訓として機能します。
たとえば、
七転び八起き…何度失敗しても立ち直ること。
石の上にも三年…つらくても続ければ成果が出る。
猿も木から落ちる…得意な人でも失敗すること。
どれも、「こう考えるといいよ」「こんなこともあるよ」という教訓がこめられています。
つまり、ことわざは人生におけるアドバイスのようなものなんですね。
いっぽう、慣用句は文の中でよく使われ、気持ちや様子をわかりやすくたとえて表す言葉です。
たとえば、
頭が下がる…立派で、尊敬したくなる。
足を引っ張る…人のじゃまをしてうまくいかないようにする。
猫の額…とてもせまい土地や場所。
虫がいい…自分に都合よく考えること。
などです。
「頭が下がる」は、本当に頭を下げるという意味ではなく、「感心する・尊敬する」という意味になります。
慣用句は、表現をより豊かにする言葉といえます。
覚えておきたい、ちょっとだけ難しい慣用句一覧
慣用句の中でも、「これを覚えておくとライバルに差がつけられる」ものを、過去の公立高校入試問題などから選んでみました。
①体に関するもの ②動物に関するもの ③そのほか、の3つに分けて、意味とともに解説します!
①体に関する慣用句
体の一部を使った慣用句は、いちばん数が多く、テストや入試問題にもよく出てきます。
【頭】
頭が痛い…心配事や悩みで苦しむ。
頭を抱える…悩んで困る。
頭を冷やす…落ち着いて考える。

【目】
目からうろこが落ちる…何かがきっかけで急に真実に気づく。

目の色を変える…本気になる。
目が泳ぐ…動揺して落ち着かない様子。
【耳】
耳を疑う…信じられない。
耳が早い…うわさなどを聞きつけるのが早い。
【息】
息をのむ…びっくりして思わず息を止める。
【舌】
舌が回る…すらすら話せる様子。
舌先三寸…言葉だけがたくみなこと。

舌の根の乾かぬうち…言ったばかりなのに、すぐに。
【肩】
肩を落とす…がっかりする。
肩を並べる…同じくらいの立場になる。
【手】
手を焼く…扱いに困る。
手塩にかける…大切に育てる。

【胸】
胸がすく…気分がすっきりする。
胸が痛む…悲しみなどのあまり、つらく思う。
【腹】
腹を決める…覚悟を決める。
腹を割る…本当の気持ちや思っていることを相手に話す。
【肝】
肝を冷やす…とてもこわい思いをして、ひやっとする。
肝に銘じる…心に強く刻む。
②動物に関する慣用句
動物が入っている慣用句は、「猫の目のよう(非常に変わりやすいことのたとえ)」のように、動物そのものの性質を考えると理解しやすく、覚えやすいです。
生き馬の目を抜く…ほかの人を出しぬいて、素早く利益を得ること。
鵜呑(うの)みにする…深く考えずそのまま受け入れること。

閑古(かんこ)鳥が鳴く…お店などで客が来なくて暇であること。
くもの子を散らす…たくさんのものがちりぢりに逃げていくこと。

虫が好かない…なんとなく気に入らない。
うなぎの寝床(ねどこ)…正面から見た幅が狭く、細長い建物のたとえ。
③そのほか
体や動物以外にも、入試に出やすい慣用句があります。
昔の暮らしや事情を知らないとピンとこないものも多いので、ここではそんな言葉を中心に、少し長めに解説しましょう。
■相づちを打つ
相手の話に合わせて、返事やうなずきを返すこと。
もともと鍛冶(かじ)屋で師匠と弟子が交互に槌(つち)を打ち合わせて刀などを作り上げたことに由来しています。
■油を売る
むだ話をしてさぼること。
江戸時代の油売りが油のしずくが切れるまで、のんびりと世間話などしながら待っていたことから生まれました。(語源諸説あり)
■板につく
経験を積んで仕事や態度がその人にしっくり合っている様子。
歌舞伎役者の足さばきが舞台の板になじんで見えることが由来といわれています。

■甲乙つけがたい
優劣がつけられないこと。
昔の成績の示し方は上から「甲乙丙丁」で、甲と乙とであまり差がつかなかったことから。
■太鼓判をおす
確実に強く保証すること。
戦国時代の金貨「甲州金(こうしゅうきん)」の価値を保証した太鼓の鋲(びょう)模様が由来といわれています。
【由来付き】覚えておきたい故事成語10選
故事成語はその由来とセットで理解しておくと、ぐっと覚えやすくなります。
一見読むのが難しい言葉の行列……と思ってしまいがちですが、よくよく読むと「昔も今も、人って変わらないな…」と気づくことができますよ。
【失敗・注意をうながすもの】
■五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)
由来: 戦場で五十歩逃げた兵士が、百歩逃げた兵士を「おくびょうだ」と笑った話から。
意味: 多少の違いはあるが、本質的には同じで大差ないこと。
例文: 宿題を忘れた君と、やってきたけど家に忘れた君。先生から見れば五十歩百歩だよ。
■杞憂(きゆう)
由来: 昔、中国の杞(き)という国の人が「空が落ちてきたらどうしよう」と夜も眠れず心配した話から。
意味: しなくていい無駄な心配をすること。取り越し苦労。
例文:発表会でセリフを全部忘れてしまうかもと心配していたが、本番では完璧に言えて、杞憂に終わった。
■覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)
由来: 一度お盆からこぼれた水は、二度と元のお盆には戻らないという話から。
意味: 一度起きてしまったことは、後で悔やんでも取り返しがつかない。
例文: テストの解答欄を一つずつズラして書いてしまった。努力した僕の時間は返ってこない…。がんばって解いた僕の時間を返してくれと思うが、覆水盆に返らずだ…。

【行動や態度に関するもの】
■虎穴(こけつ)に入らずんば虎子(こじ)を得ず
由来: 虎の子供を捕まえるには、危険な虎の洞穴(虎穴)に入る覚悟が必要だということから。
意味: 危険を冒さなければ、大きな成功や成果は得られない。
例文:大会で優勝したいなら、難しい技にも挑戦しないとね! 虎穴に入らずんば虎子を得ずだよ。
■背水の陣(はいすいのじん)
由来: 川を背にして逃げ場をなくし、「戦うしかない」と兵士を奮い立たせて勝利した戦術から。
意味: 失敗すれば後がないという状況で、決死の覚悟で物事に取り組むこと。
例文:夏休みの宿題を最後の2日まで放置してしまい、もう逃げられないと覚悟して一気に終わらせた。まさに背水の陣だった。
【努力や学びに関するもの】
■蛍雪の功(けいせつのこう)
由来: 貧しくて明かりの油が買えない学生が、蛍の光や窓の外の雪明かりで勉強した努力の話から。
意味: 苦労して学問に励み、その結果として成功すること。
例文:テスト前にゲームを封印し、夜もコツコツ勉強した。その努力が実って点数が上がり、友達に「それ、蛍雪の功じゃん!」と言われた。

■他山の石(たざんのいし)
由来: よその山の粗末な石でも、自分の宝石を磨くための道具としては役立つということから。
意味: 他人の失敗やダメな言動を見て、自分の振る舞いの参考にすること。
例文: 友達のギャグがスベり倒しているのを他山の石として、僕は面白い話し方を研究することにした。
■推敲(すいこう)
由来: 詩人の賈島(かとう)が詩を作る際、「門を推(お)す」にするか「門を敲(たた)く」にするか、悩み抜いた話から。
意味: 文章をより良くするために、何度も読み返して言葉を直すこと。
例文:好きな人へのメッセージを3時間かけて推敲したが、結局送ったのは『おやすみ』のスタンプ一つだった。

【性格・人の特徴に関するもの】
■漱石枕流(そうせきちんりゅう)
由来: 「石に枕し、流れに漱(くちすす)ぐ」と言うべきところを、言い間違えた男が「石で口をすすぎ、流れを枕にするのだ」と強引に言い張った話から。
ちなみに、文豪の夏目漱石のペンネームはここから来ています。
意味: 自分の間違いを認めず、負け惜しみが強いこと。屁理屈を並べて言い逃れること。
例文:言い間違いを指摘されて「わざと言ったんだよ!」と怒る彼は、まさに漱石枕流そのものだ。
【状況・状態を表すもの】
■烏合の衆(うごうのしゅう)
由来: カラスの群れのように、ただ集まっているだけでまとまりもルールもない様子から。
意味: 規律も統制もなく、ただ集まった頼りない集団のこと。
例文:合唱コンクールに向けてクラスの意見がまとまらない私たちは、ただの烏合の衆だ。
テスト対策に! 慣用句・故事成語問題の頻出パターンをマスターしよう
さて、最後は、よくある慣用句故事成語問題の頻出パターンを実践形式でおさえておきましょう。
テスト本番で「見たことあるのに…!」とならないように、主な出題形式をここでしっかりチェックしてみて!
① 意味を問うパターン
これはいちばん基本の問題です。慣用句や故事・成語の正しい意味を選んで書く問題です。
たとえば…
例題:「音(ね)を上げる」の言葉の意味として、適切なものを次のア~エから選び、記号で答えなさい。
ア 大きな声で歌うこと
イ 困難に耐えきれず弱音を吐くこと
ウ 新しい音楽を作り出すこと
エ 周囲の音に耳を傾けること
どうですか? 意味をすぐに答えられますか?
正解は、イの「困難に耐えきれず弱音を吐くこと」です。
こうした言葉の意味については、正確に覚えているかどうかがポイントになります。
なんとなくのイメージではなく、「どのような場面で使う言葉なのか?」までを理解しておくと安心です。
② 文章中から適切な慣用句・故事成語を選ぶパターン
これはレベルが一段アップします。単に意味を知っているだけでなく、文の流れ(文脈)に合っているかを判断する力が必要だからです。
たとえば…
例題:次の文の( )にあてはまる言葉を後から一つずつ選び、記号で答えなさい。
一部リーグ残留をかけて( )の気持ちで試合に臨む。

ア 蛍雪の功
イ 五十歩百歩
ウ 背水の陣
エ 烏合の衆
今度はどうでしょう?
正解は、ウの「背水の陣」ですね。
「背水の陣」の意味は、「逃げ道を断ち、覚悟を決めて取り組むこと」です。
空欄の前後の内容から「どんな状況か」という文脈を読み取りましょう。
③ 慣用句・故事成語の使い方を問うパターン
これは記述問題でよく出るパターンです。
本来の意味を理解していないと、不自然な文章になってしまうので要注意!
たとえば…
例題:慣用句の「雀の涙」を使って短文を作りなさい。
「雀の涙」の慣用句の意味としては「ほんのわずかなこと」ですね。
その場合、どのような文が適切でしょうか?
× 彼は雀の涙のように大泣きした。
→ 使い方がちょっと変ですね。
〇 弟にケーキを一口ちょうだいと言ったら、雀の涙ほどしかくれなかった。
→ 意味がきちんと生きています。
意味+使う場面までセットで覚えることが大切です。
★まとめ
慣用句・故事成語は「意味を暗記するだけ」ではなく、使い方まで理解することが定着への近道です!
ぜひ問題に取り組むときは、「これはどのパターンかな?」と意識しながら取り組んでみてくださいね。
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