【中学理科】火山-そのしくみを探る-マグマや噴火の秘密を徹底解説!

火山とは?
地球の内部の温度は、地表から深くなるほど高くなります。地下には高温によって岩石がとけ、どろどろになった状態のものが存在します。これがマグマとよばれるものです。
このマグマが陸の地表や海底に噴き出すことによってできた地形が火山です。ですから、火山は陸だけではなく、海底にも存在します。
マグマの生成
地球は、中心から地表に向かって、内核、外核、マントル、地殻からなる層構造をしています。内核、外核はそれぞれ主に固体の鉄、液体の鉄からできていて、マントルと地殻は岩石からできています。

マントルを構成する岩石(主にかんらん岩)は、高温でも大きな圧力が加わっていると、とけることはありません。しかし、温度がさらに上がり、大きな圧力のもとでもとける温度に達したり、圧力が低下してとける温度が低くなったりすると、とけ始めます。こうしてマグマができます。
マグマ、火山ができる場所
マグマ、火山のできる場所は主に3つあります。このうち2つはプレートの境界です。
地球の表面は十数枚のプレートにおおわれています。プレートとは厚さ10~200kmほどの岩石の層で、マントルの上層部分と地殻で構成されています。プレートは、厚さがうすく(10~100km)密度が大きい海洋プレートと、厚さが厚く(100~200km)密度が小さい大陸プレートに分けられています。これらのプレートは、1年に数cm程度のゆっくりとした速さで動いています。2つのプレートが接している境界では、プレートの動きが関係してマグマ、火山ができます。
もうひとつは、プレートの境界とは直接は関係のない場所です。プレートの境界以外でマグマができる場所をホットスポットといいます。

マグマと火山ができる場所についてまとめると、次の①~③のようになります。
① プレートの沈みこみ帯
海洋プレートと大陸プレートがぶつかると、密度の大きい海洋プレートが大陸プレートの下にもぐりこみます。海洋プレートは海底となっていたので水分を多くふくんでいて、この海洋プレートが大陸プレートの下深くまでくると、大きな圧力によってふくまれていた水分が出てきます。
すると、岩石のとける温度が大きく下がるため、上部の大陸プレートのマントル部分がとけ始め、マグマとなります。できたマグマは、周囲の岩石より密度が小さいため、浮力がはたらいて上昇し、密度が周囲と同じになった場所にとどまり、マグマだまりができます。
このマグマだまりから上昇したマグマが地表に噴き出して火山ができます。
② 海嶺
海洋プレートが2つに引き裂かれ、その境界にできたすき間をうめるように、地下から高温の固体のマントルが上昇してきます。
すると、圧力が下がり、上昇してきたマントルがとけはじめ、マグマになります。このマグマが海底に噴出すると海底火山となります。
また、この場所では、上昇してきたマントルなどが新たにプレートの一部となり、すき間の両側に広がっていきます。このような場所を海嶺といいます。
なお、私たちの目にふれることはないため、意外かもしれませんが、海底火山での溶岩などの噴出量は、火山の中で最も多いのです。
③ ホットスポット
核の熱により、プレートの下のマントルの一部が高温となって上昇し、これがとけてマグマになります。このマグマがさらに上昇し、プレートをつき破って地表に噴き出し、火山ができます。
火山の噴火
マグマには、水蒸気をはじめとする気体の成分がとけています。このマグマが地表近くまで上昇すると圧力が下がり、とけきれなくなった気体の成分が気泡になります。マグマの内部の気泡がふえると、マグマ全体の体積が急に膨張して爆発し、岩盤をつき破って地表に噴き出します。これが噴火です。

炭酸飲料の入ったペットボトルをあたためたり振ったりして発泡させ、ふたをゆるめると、炭酸飲料が噴き出しますね。これと同じような現象なのです。
噴火で噴き出すもの

火山の噴火によって地表に噴き出てくるものをまとめて火山噴出物といい、ほとんどがマグマに由来するものです。
火山噴出物にはどのようなものがあるのでしょうか。
① 火山ガス
主に、マグマにとけていた気体で、噴火の大きな原因になります。この気体のほとんどは水蒸気で、そのほかに、二酸化炭素や硫化水素、二酸化硫黄などがふくまれています。
② 溶岩
マグマが地表に流れ出たものです。マグマが地下にあるときに結晶(固体)となったものがふくまれています。また、地下にあるときのマグマが発泡したあとなので、とけている気体も少なくなっています。
③ 火山砕屑(さいせつ)物(テフラ)
噴火によってマグマが細かく砕(くだ)かれたものです。大きさや形、構造によっていくつかの種類に分けられています。
・火山灰…形や構造が決まっていないもので、直径が2mm以下のもの。
・火山礫(れき)…形や構造が決まっていないもので、直径が2mm~64mmのもの。
・火山岩塊…形や構造が決まっていないもので、直径が64mm以上のもの。
・火山弾…マグマの断片が飛ばされている間に特定の形になって固まったもの。
・軽石…内部に気泡が発生した状態で急に冷えて固まったもので、たいへん軽く、小さな穴がたくさんあります。
このうち、白っぽい色のものを軽石、黒っぽい色のものをスコリアといいます。

火山の形
マグマはマントルを構成する岩石がとけたものです。マントルを構成するかんらん岩の主成分は二酸化ケイ素(SiO2)です。
つまり、マグマには二酸化ケイ素がふくまれています。二酸化ケイ素は無色透明で、ひも状や網目状につながります。
したがって、ふくまれる二酸化ケイ素の割合が大きいほど、マグマは白っぽく、ねばりけは強くなります。ねばりけの弱いマグマが地表に噴き出して溶岩になると、横にうすく広がって流れます。
一方、ねばりけの強いマグマは横に広がらず、上へもり上がります。つまり、マグマのねばりけによって火山の形が変わります。
① マグマのねばりけが弱い火山
噴火のしかたはおだやかで、溶岩は横にうすく広がって流れるため、傾斜がゆるやかな火山となります。
このような形状の火山を楯状(たてじょう)火山といいます。ふくまれる二酸化ケイ素の割合が小さいため、溶岩は黒っぽい色をしています。

例 マウナロア(ハワイ島)、キラウエア(ハワイ島)
② マグマのねばりけが中間の火山
複数回の噴火によって、溶岩と火山砕屑物などが交互に積み重なってできた円すい状の火山です。
このような形状の火山を成層火山といいます。

例 富士山(山梨県、静岡県)、桜島(鹿児島県)、浅間山(長野県、群馬県)
③ マグマのねばりけが強い火山
爆発的な激しい噴火をし、溶岩はもり上がるので、傾斜の急なドーム状の火山になります。
ふくまれる二酸化ケイ素の割合が大きいため、溶岩は白っぽい色をしています。

例 雲仙普賢岳(長崎県)、有珠山(北海道)、昭和新山(北海道)
活火山
過去およそ1万年以内に噴火した記録があるか、または現在活動している火山を活火山といい、日本には2026年現在で111の活火山が存在します。
かつて、活火山に対し、過去に噴火の記録があり、現在は活動がほとんど見られない火山を休火山、過去において噴火した記録がない火山を死火山とよんでいました。
しかし、現在は休火山、死火山という用語は使われなくなり、これらは「活火山ではない火山」などとよばれています。
これは、その後の研究で、数万年の周期で噴火する火山があることなどがわかり、休火山や死火山とよばれていた火山が今後に噴火する可能性はゼロではなく、実際に死火山とされていた火山が噴火した例があることなどの理由によるものです。
噴火による特徴的な現象
噴火のしかたにはさまざまなものがあります。
噴火のタイプには、
ハワイ式(ねばりけの弱い溶岩が大量に流出する噴火、キラウエアやマウナロアなど)
ストロンボリ式(比較的ねばりけの弱いマグマが火口から間欠的に激しく噴き上がる噴火、伊豆大島三原山など)
ブルカノ式(高圧の火山ガスによりマグマや火山灰などを爆発的に上空高くまで噴き上げる噴火、桜島や浅間山など)
プリニー式(発泡した溶岩や大量の火山灰などを10000m以上の高さまで噴き上げる最も激しい噴火、フィリピンのピナツボ火山など)
があります。
また、その他の特徴的な噴火の現象には、次のようなものがあります。
① 火砕流(かさいりゅう)
火山灰や軽石などの火山砕屑物が、高温の火山ガスとともに高速で山腹を流れ下る現象です。
雲仙普賢岳の噴火において1991年にくり返し発生し、森林や家屋、農地などが広範囲にわたって破壊され、死者・行方不明者が44名におよぶなど、甚大な被害が発生しました。
また、西暦79年に発生したイタリアのヴェスヴィオス火山の噴火で、古代ローマ都市ポンペイが埋もれてしまったのは、火砕サージ(火砕流と似た現象で、火砕流よりも火山ガスの割合が大きい)や火砕流の発生が原因であると考えられています。
② 水蒸気爆発
地下水がマグマの熱であたためられて大量の水蒸気が急に発生して膨張し、激しい爆発が起こる現象です。地下水が直接マグマに触れて水蒸気となって爆発すると、水蒸気とともにマグマも噴出します。これを、特にマグマ-水蒸気爆発、あるいは水蒸気噴火といいます。
火山と地震
世界における火山の分布と震央の分布を図に示すと、火山の分布は地震の分布とほぼ同じになります。なぜでしょうか。

地球の表面は、十数枚のプレートにおおわれています。実は、火山や震央の分布は、これらプレートの境界と一致します。
つまり、火山活動や地震の多くは、プレートの境界で起こっています。それぞれのプレートは年間数cmのレベルで動いています。
これらのプレートの運動と火山・地震が大きく関係していることがわかります。
日本列島は、太平洋プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートという4つのプレートの境界に位置しています。このため、日本は、世界有数の火山国、地震国といわれるほど、火山や地震が多い国です。
火山による災害と恵み
火山による災害
① 噴煙
火山の噴火によって、火口から噴き上げられた火山灰などの小さな火山砕屑物は、噴煙となって長い間にわたり大気中を漂います。この噴煙の中を航空機が飛行すると、エンジン故障や視界不良などによって墜落事故を起こす危険があります。
このため、長期間の欠航などで交通網が閉鎖され、人々の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、上空高くまで上がった噴煙が、偏西風などで広範囲に運ばれて長期間にわたって日光をさえぎると、気温の低下などで天候に異変が起こり、農作物などが大きな打撃を受けることもあります。
② 降灰
火山砕屑物で最も細かい火山灰は、火口から遠い場所まで広範囲に飛散し、やがて地上に積もります。
地上に達した火山灰は、家屋などの建造物の損壊、自動車の損壊、農作物への打撃など、さまざまな悪影響を及ぼします。
特に、鉄道への影響は大きく、線路にわずか0.5mmの火山灰が積もっただけで運行は不可能になると考えられています。ま
た、火山灰を吸い込むことによる健康被害も心配されます。このような影響が長期間におよぶと、私たちの生活に大きな支障をきたします。
③ 火砕流
火砕流の被害については、前述の「噴火による特徴的な現象 ①火砕流」を参照してください。
④ 火山ガス
火山ガスの主な成分は水蒸気ですが、このほか、二酸化硫黄や硫化水素など、人体にきわめて有毒な気体もふくまれています。
二酸化硫黄は亜硫酸ガスともよばれ、刺激臭をもち、大気汚染の原因となるほか、大気中の水にとけ込んで酸性雨の原因にもなります。
また、硫化水素は、卵が腐ったような独特のにおいをもち、空気より重いためにくぼ地などにたまりやすく、実際に、硫化水素がたまった場所に誤って入ってしまい、中毒を起こして命を失う事故も起きています。
⑤ その他
大量の溶岩が流れ下る溶岩流によって生活圏などが破壊されることがあります。
また、噴火によって火口から飛び出した岩石のかけら(噴石)が建造物にぶつかって破壊したり、人体に当たって命が失われたり負傷したりする被害があります。
2014年の御嶽山(おんたけさん)の突然の噴火では、山頂付近にいた多数の登山客が噴石に当たって命を失う事故が起きています。
火山による恵み
火山は、人間に被害をもたらす一方で、恵みも与えてくれます。どのような恵みがあるのでしょうか。
① 温泉
マグマの熱であたためられた地下水が地表にわき出て、温泉となります。温泉は、私たちに安らぎを与えてくれます。また、温泉がわき出る火山地帯は、その美しい景観によって観光地となり、憩(いこ)いの場となります。

② 地熱発電
マグマの熱で高温になった地下水の蒸気を用いて発電が行われています。

③ 培養土
火山灰などの火山砕屑物は、水はけがよく、植物の養分となる元素を多くふくんでいるため、これらを利用して、農作物の栽培に適した土をつくっています。
おわりに
地球が誕生してから46億年がたつと考えられています。46億年前、太陽のまわりでは、たくさんの微惑星がお互いの重力で引っぱり合い、衝突と合体をくり返し、その結果、いくつもの原始惑星が生まれました。地球もその一つです。

生まれたばかりの原始地球は、衝突によって発生した水蒸気や二酸化炭素におおわれ、これらの気体の温室効果と、引き続く微惑星の衝突で発生した熱によって、表面の岩石はとけ、全体は「マグマの海」におおわれていました。
やがて、衝突する微惑星の数も少なくなり、冷え始めました。そして、地球のまわりをおおっていた大量の水蒸気が液体の水になり、雨となって地球に降り注ぎました。この雨によって、地球の表面に海が誕生しました。
しかし、地球の表面が冷えても、その内部は高温のままで、マントルの活動は現在より活発で、プレートの運動やマグマの活動によって、大規模な地殻変動をくり返し、現在の姿になりました。そして、当時よりは静まってきたものの、現在もなお、その活動は続いています。
火山活動や地震は、まだその内部に膨大なエネルギーを蓄えて活動を続ける地球の姿を見せてくれます。人間の手で火山の噴火や地震の発生などの自然現象を止めることはできません。しかし、発生してしまった場合、それによる被害を最小限にとどめることは可能です。これらの自然現象のしくみを正しく理解し、過去の事例などをもとに、発生した場合の被害が予想できれば、それに対処する方法も考えることができます。

とはいえ、自然現象のしくみに関して、科学が大幅に発展した現在でさえ、完全に解明できたわけではありません。もしかしたら、解明できたのはほんの一部に過ぎないかもしれません。また、判明したと思われた事項そのものが間違っているということもあり得ます。ですから、「この程度なら大丈夫だ」「まだ安心できる範囲だ」などと考えられていても、予想外のことが突然起こりうるのです。
前述した2014年の御嶽山の噴火もその一つです。当時、火山活動がさかんになってきていることは認識されてはいましたが、噴火警戒レベルとしては最も低い1の「活火山であることに留意する」程度のものでした。当然、入山規制などは行われず、多くの人々が心配することなく登山をしました。しかし、噴火は突然起き、噴石によって多くの尊い命が失われてしまいました。同じような事例は過去にたくさんあります。
つまり、防ぎようがないことがたくさんあります。それが自然です。自然相手に「絶対」はありません。人類の知恵や力を過信することのないよう、自然に向き合うことが大切です。
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