お金の価値は毎日変わる⁉ 円安・円高をその意味から徹底解説

そもそも円安・円高とは? わかりやすく考えるために
最近のニュースで「記録的円安の影響で……」という言葉を耳にする機会が増えましたね。
「円が安い」というのは具体的にどういうことなのでしょうか?
本記事では、円安とは何かについて、円高との違い、そのしくみやメリット・デメリットを身近な例も交えてわかるように解説していきます。
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教科書の説明する「円安」「円高」
円安=「外国のお金に比べて円の価値が下がる(低くなる)こと」
円高=「外国のお金に比べて円の価値が上がる(高くなる)こと」
これだけでは何を示しているのか、さっぱりわかりませんね。
それでは、「国によって使われているお金が違う」というところから考えてみましょう。
例えば、日本では円ですが、アメリカではドル、ヨーロッパの多くの国はユーロをお金(通貨)として用いています。

異なるお金を使う国で、人の移動(旅行など)や物の移動(輸入・輸出)をするときには、お金をそれぞれの国のお金に交換することが必要です。
※交換と表現していますが、「相手の国のお金と自分の国のお金を使って買う(売る)」とした方がイメージしやすいです。
ただ、厄介なのは、価格(=お金を交換する比率)は日によって変わるということです。
これを「為替相場(為替レート)」といいます。この為替相場が円安・円高に関係します。
お金の種類はたくさんありますが、今回は円とドルの関係を例に説明します。
ある日の為替相場が1ドル=100円だったとします。

それが、別の日に1ドル=150円になった場合、円の価値がドルに比べて下がりました。これが円安と呼ばれる状態です。

反対に円高は、別の日に1ドル=80円になった場合の、円の価値がドルに比べて上がった状態を意味します。

身近な例でみる「円安」「円高」
円安でチョコが高くなる?
教科書通りの説明だとまだ分かりにくいですね。かみ砕いて、身近な例に置き換えて、説明しましょう。
2月なので、バレンタインデーでたくさん食べたであろうチョコレートを例に挙げます。
例えば、アメリカの板チョコが1ドルだとします。以前は100円を出せば丸々一枚買えました。
でも、円安の今では100円を出しても少し欠けた状態のものしか渡されません。
完全な一枚の板チョコが欲しいなら、150円出さないといけないわけです。
一方、円高の状況であれば、100円を出せば1枚もらえるうえに、さらにおまけがついてきます。

チョコレートをたくさん食べたい私たちにとっては、円安は不利な状況です。
円高であれば、円安と反対に、チョコレートをお得にたくさん食べられます。
円安・円高は板チョコ一枚買うにも影響を与える、と考えると少しわかりやすくなりますね!
円安と円高を超簡単に区別する方法
これまで紹介した円安と円高。まぎらわしい2つの概念を、どうしたら簡単に見分けられるでしょうか。
おすすめの方法をご紹介します。
覚え方のコツは「1ドルに対する円の動き」
円安=「1ドルに対して円が上がる(UP)こと」
円高=「1ドルに対して円が下がる(DOWN)こと」
とシンプルに覚えておくと良いでしょう。

ただ、この図を覚えて機械的に答えられても、円安・円高のことを真に理解したとは言えません。
次に、そのしくみについて見ていきましょう。
円安が起こる原因・しくみ
円安・円高の両方について取り上げてきましたが、ここからは円安について詳しく見ていきます。
円安は一体なぜ起こるのでしょうか? ここでは、原因を3つに分けて紹介します。
外国で「円」が不人気に
日本の経済が急速に成長したり安定して伸びたりしているとき、世界の投資家たちは「日本は伸びる!」と考えます。
そして、自国のお金を日本のお金(円)に換えてその成長にあやかろうとします。つまり、円の需要(欲しいという人が増える)が高まります。
しかし、他国に比べて経済成長率が低い、もしくは経済活動が縮小しているときには、
彼らは「日本にはもう期待できないよ……。」と考えて、円を手放します。
このように、円が欲しいという人が相対的に減る(円の需要が下がる)ことで、結果的に円安が進行します。
人気の下がったキャラクターのグッズは一気に値段が安くなりますよね。
その現象と同じように考えると、円安のメカニズムがわかりやすくなります。

日本と海外の金利の差
金利とは、銀行にお金を預けたときのリターンのことで、その割合は銀行によって異なります。
国単位では、中央銀行の金利が基準となります。この金利が円安と関係してきます。
例えば、日本の金利が低く、アメリカの金利が高くなっているとします。
その場合、世界の投資家たちは、より多いリターンを求めて、ケチな日本より気前のいいアメリカの銀行へとお金を移動させることが増えます。
たくさんお金をもらえる銀行に預けたほうが、自分がより得するからです。
このように日本の金利が他国と比べて低いとき、円から他国の通貨に換える動きが増えて、「為替相場」が変動します(初めのほうでふれましたね)。
その結果として国内から円が消え、円安を引き起こすことになるのです。
輸入品で成り立つ日本
日本は、多くの製品や原材料を海外からの輸入に頼っています。
特に依存度が高いものとして、食料品やエネルギー資源、工業製品などが挙げられます。
例えば、冬の寒い時期に必須の暖房器具。それらを使用するためのエネルギー資源(ガスや石油、電気など)の多くを、日本は輸入に依存しています。
輸出より輸入の割合が増え、そのバランスが崩れると、円安の加速につながります。
輸入する際には、円を他国のお金に換えて購入する必要があるからです。
これらの原因が複雑に絡み合い、「円安」という現象を引き起こしています。
円安は私たちの生活や経済にさまざまな影響を及ぼすため、これらのしくみを理解しておくことは非常に重要です。
円安のデメリット:身近な生活で見ると困る
ここまで読んできて、「円安は私たちの生活にとって困ることが多い」ということが何となくわかったかと思います。
ここではより詳しく、私たちの生活に即して紹介していきます。
物価が高くなり生活に悪影響
円安の影響で、日本円を使って外国の物を買うと、以前より多くのお金が必要になります。
特に、日本は外国からの輸入に頼っているため、物価が上昇する大きな要因となります。
例えば、チョコレートやオレンジジュース、コーヒー、パンなど、日常生活でよく口にする食べ物の値段が高くなっていることに気づいていますか?
これらは海外から原料を輸入しているため、もろに影響を受けます。
実際に、スーパーで今まで150円だったチョコレートは、200円台に値上がりしていました。
このように、身近な商品が高くなることで、私たちの生活費が圧迫されます。
最近耳にしない日はない「物価高」とは、このような問題なのです。

海外旅行に行きにくい
円安は海外旅行を計画している人にとっても大きな壁となります。
例えば、4人家族でハワイ旅行に行くとしましょう。
以前は飛行機の片道チケットが1人あたり7万円程度で買えたのに、今の平均価格は約12万円です。
4人で行くことを考えると、チケット代だけで以前より20万円も多く支払うことになります。
また、現地での買い物や食事も必然的に高くなります。
「ペットボトル1本の水がこんなに高いの⁉」と驚いた経験を持つ人もいるかもしれません。
日本国内と比べて、同じ金額を支払ったとしても、以前よりも少ないサービスや商品しか手に入れられない状況になることもあるでしょう。
円安によって、海外旅行にかかる金額が非常に高くなってしまったのです。
輸入に頼る会社のコストが増える
原料を海外から輸入し、加工して販売している企業は、原料価格・輸送コストなどの面で、円安の影響を受けやすいです。
例えば、チョコレートの原材料であるカカオ豆は日本では取れないため、原料コストが上昇します。
製造会社は経営を支えるために商品を値上げします。その結果、チョコレートの価格が上がることになります。
最近では、コンピュータの値上げも話題となりました。その原因の一端にも、円安による影響があります。
PCパーツのほとんどは海外から輸入されており、部品ごとのコストが増しているため、国内の販売価格が異常な値上がりを見せているのです。
このように、円安は私たちの生活にさまざまなデメリットをもたらすことが多く、国内経済にも大きな影響を与える要因となっています。
「円安がどのような影響を及ぼすか」をしっかり理解しておくと、日々の生活のちょっとした変化にも気づいてその理由を推測することができます。
円安のメリット:外から見ると嬉しい
上で見てきたように、国内の人からするとデメリットが多い印象の円安ですが、メリットもあります。
外国人観光客や、日本と海外でビジネスをしている日本人から見た円安は嬉しいことが多いです。
輸出する会社の利益が増える
円安は、日本から海外に商品を輸出することで多くの利益を得ている会社に有利な状況です。
外国に商品を売る彼らの視点に立って、例えば「1ドル=150円」の円安を考えてみましょう。
10,000円で製造する商品を、15,000円で外国に販売することができるため、5,000円の利益を得られます。
輸出を行う企業にとって円安は嬉しい現象であり、海外での競争力が高まることで売上を伸ばす機会が増えます。
外国からの観光客が増える
円安状態の日本を海外から見ると、様々なものが自国より安く感じられます。
例えば、日本では1粒500円もするお値段高めのチョコであっても、外国の通貨基準でみると100円程度に感じられます。
海外の人にとって、まさに日本はパラダイスです。
近年、あなたの町でも見たことがあるかもしれませんが外国人観光客がたくさん日本へ訪れるようになりました。
いわゆる「インバウンド」の理由の一つには、円安があるともいえるでしょう。

観光客に向けた日本のホテルや飲食店、観光業の売上が増え、そこで働く人は収入が増え、一部では経済の活性化にもつながっています。
外国のお金を持っている人の資産が増える
さらに、外国のお金や株を持っている人も円安の恩恵を受けます。
仮に1万ドル保有している人がいたとします。1ドルが100円から120円の円安になった場合、その人の1万ドルの価値は10万円から12万円に増加します。
つまり円安とは、チャンスです。
投資家たちは、このチャンスを狙って自分のお金を移動させます。
円安や円高の流れを読み取ることは、投資で成功し、資産をより効果的に増やすためには非常に重要なのです。
このように、円安は悪いものと思われがちですが、視点を変えてみると、実際にはいいところもあるのです。
よって、円安を「(外から)円(を使ってものを売買すると)安(い)」の略と考えてもいいでしょう。
円安がもたらすポジティブな側面を理解し、今後の経済状況に備えることが大切です。
円高だとどうなる?
ここまで円安について、しくみとメリット・デメリットをお伝えしてきました。では、円高ではいったいどうなるのでしょう?
答えは「円安と反対」、つまり
メリットは「身近な生活で見ると嬉しい」 デメリットは「外から見ると困る」
となります。
実際に円高傾向だった2010年代前半までを振り返ってみましょう。
多くの人が日本から海外旅行や留学へお得に行くことができ、食料品も海外ブランド品も今より安く手に入れることができました。
ただ、海外の人にとっては日本に旅行に来たくても高くて来られず、輸出中心の企業は業績が悪化傾向にありました。
円安と対比させると、とても覚えやすくなるのでオススメです。
まとめ:円安・円高とは結局何なのか? ポイントをおさらい
この記事では、円安について、円高との違い、そのしくみやメリット・デメリットを徹底解説してきました。
長い道のりだったと思うので、最後にポイントをおさらいしましょう。

この記事を最後まで読み、しくみやメリット・デメリットを知ったあなたであれば、
それらをふまえて、「円安」と「円高」のどちらが自分にとって良いか考えられるようになったはずです。
円安・円高について理解を深め、どちらが良いか考えることで、賢くお金を使ったり投資したりできるようになります。
そのためにも、日々のニュースを見て、経済に興味を持ち、学んでいくことが大切です。
この記事が学びの一歩目となれば幸いです!
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